側胸部,脇腹の痛みに御用心!

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開業以来多くの痛みの患者さんの検査・治療を行わせて頂いていますが,時々「側胸部や脇腹の痛み」を訴えて来院される方がいらっしゃいます.通常「側胸部や脇腹の痛み」の場合は内科的疾患が原因のことが多いのですが,かかりつけの病院で胸部レントゲン,胃カメラ,大腸カメラなどの内視鏡検査や腹部超音波検査など受けても異常ないが痛みがつづいているとして来院される方で脊椎疾患による肋間神経痛が原因の場合があり,この半年で6人ほどいらっしゃいました.内訳は脊髄腫瘍2例,悪性腫瘍の脊椎転移3例,胸椎椎間板ヘルニア1例でした.

画像の患者さんは50代女性の方ですが,半年前から左側胸部の痛みを自覚,症状が続いているけど内科的には異常なしと言われているとして当院受診されました.胸椎MRI検査施行したところ第9胸椎の高さに脊髄腫瘍がみられ(下図),これが神経を刺激して肋間神経痛の原因になっていると診断しました(御本人からMRI画像掲載の許可を得ています).

別の70代女性の方は数年間続く右側胸部痛があり内科,婦人科,皮膚科など数カ所の病院で調べても異常ないと言われ原因がわからず困っていると来院されましたが,同じように脊髄腫瘍が原因の肋間神経痛でした.どちらの方も外科治療できる医療機関に紹介させて頂きました.

また,50代の女性でそれまで体調に異変は全く無かったそうですが,背伸びをしたときから背中から側胸部に激痛出現,3週間経過しても痛みが取れないとして来院されましたが,MR検査で第10,11胸椎の圧迫骨折がみつかり,CT検査を追加して精査した結果,悪性腫瘍の脊椎転移が原因の圧迫骨折であることが判明し,同時に肝臓への転移もみつかった方がいらっしゃいます.

側胸部,脇腹の痛みが長引く場合で内科的な異常が見られない場合は,脊髄に異常が存在することがありますので,念のため精査を受けることをお勧めします.